ユリア
乱世に咲く魔性の女

見守る愛
トキ曰く、彼が愛したただひとりの女性。だが告白はせず。
ユリアの魔性の魅力にあてられた男達は一様に色モノ揃いなので、
思慮深いトキの事だ、これ以上話をややこしくしない為にも、
自分の想いはおし殺し、「見守る愛」を選んだのだろう。

しかしそれにしても、ユリアに関しては見守るだけでも命がけだ。
ラオウは日頃から「ユリアは自分の野望」などと吹聴しており、
しかも「従順しなければ死あるのみ」という無茶なスタンスなので
ユリアを見守るにはどうしても彼を敵に回さざるをえない。
実際ユリアがらみで一触即発の雰囲気になった事もあり、
日々苦労が絶えないようである。
また、核戦争の際はユリア、ケンシロウの為に死の灰を浴びて、
本当に命を縮めてしまう事となる。

自分の想いが報われないのなら、その時点で「我関せず」を
決め込めばいいのに、色々と世話を焼いてしまうあたり、
トキの「人の良さ」は本当に損である。

縁の下
他の連中とは違い、トキのユリア絡みのエピソードは本当に少ない。
ユリアが初めて練気闘座に来た時も、トキの気配はまるでナシ。
というか、作中でトキとユリアが言葉を交わした場面は一つもない。

また、数少ないエピソードも、相手がユリアである必然性は今ひとつだ。
ラオウの魔の手からユリアを救った時にしても、シェルター事件にしても
たぶんユリアが他の誰かであっても、トキならば同じ行動に出ただろう。

やはり「見守る」というスタイルは、北斗のように力が全てな世界では
地味な役回りになってしまうものなのだろうか。

同族
ところで、トキファンとしてはどうしても腑に落ちない事がある。
ユリア!なんでケンシロウなんだよ!
選ぶなら文武両道、才色兼備のトキでしょ!どう考えても!!


…だからと言って、トキとユリアが並んでる絵は「お似合い」とは言い難い。
ユリアにはリュウガ、ジュウザと2人の兄がいるが、そのどちらよりも
トキと似ており、またトキもラオウ、カイオウより遥かにユリア顔だ。
トキとユリアって、なんとなく兄妹みたいなんだよなあ…。

しかも外見だけでなく、内面もかなり近いものがある。
トキもユリアも北斗随一の博愛キャラだ。時には自己犠牲も厭わない。
「癒し」の能力もトキは北斗神拳、ユリアは謎のヒーリング技と、
お互いが得意分野としている。

…似すぎはだめっすか?ユリアさん。

魔性
そんなトキとユリアだが、全く異なる点がある。
それは、ユリアと関わった人間のほとんどが、大かれ少なかれ
彼女のせいで命を落としているのだ。
シンは言うまでもない。ジャギはケンシロウがユリアと伝承者の地位を
手に入れたので暴走した。ラオウはユリアをさらい、部下を失った。
五車星は天才軍師以外死にたえた。
ジュウザに対する「わたしのためにおまえの命がほしい」は、
まさしくユリアの魔性の真骨頂!…恐い、恐すぎる。

同じ癒し系だが、トキは時代を支え、ユリアは時代をかきまわす。
恐ろしい差である。

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