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CVカテーテル

入院してまずやったのが、点滴ルートの確保でした。
CVカテーテルと呼ばれているもので、点滴の管を中心静脈に挿入します。
化学療法で使う抗がん剤は成分が強く、他にも高カロリーの点滴をするのですが、その液は高浸透圧なので、通常の用に腕に点滴すると刺さってるところの血管壁が薬剤の強さに負けてぼろぼろになってしまうそうです。
なので、心臓の上あたりにある中心静脈を使います。
そこなら血管が太くて血流も速いから、点滴の液が急速に希釈されて大丈夫になる、という仕組みです。

入院の手続きを終えて落ち着いたら、病棟の処置室に呼ばれました。
カテーテルは鎖骨の下あたりから挿入します。
ベッドに寝てから、首から肩、胸のほうまで結構広範囲に消毒しました。体の奥深くまで差し込むため、感染にかなり気を使っているようです。
それから直径10cmくらいの丸い穴が開いた緑のシートをかぶせられました。
局所麻酔を何箇所か打ち、カテーテルを挿入していきます。左の鎖骨下から鎖骨を沿わせて進み、中心静脈に差し込んで、先を心臓の近くまで持って行きます。大体挿入部から12cmくらいの管が体内に入っています。
最後に体から出た部分を2箇所体に縫い付けて固定して、その上から透明テープを貼り付けて完成です。
その後レントゲンを撮りに行き、ちゃんとカテーテルが中心静脈に入っているかを確認しました。

局所麻酔は想像通りな痛さです。
その後の挿入は、麻酔が効いているので痛みはあまりないのですが、何かやっている感覚は分かるので変な感じです。
鎖骨に当たったと思われるときは鈍くて骨に響くような痛みがあって、この痛みはその後1週間くらい続きました。
リラックスしていればいいんでしょうが、なかなかそういうわけにはいかず、ずっと緊張して力が入ってしまっていたせいか、ひどい肩こりみたいになって、肩もしばらく痛かったです。
痛みの度合いだけみれば麻酔が一番痛いんですけど、それは予防接種の痛いバージョンみたいな分かりやすいというか、覚悟が出来る痛みなので耐えやすいです。その後の挿入の方は日頃味わったことのない感覚なので、こっちの方が気分的には辛かったですね。

麻酔の後、挿入にかかった時間は10〜15分くらいだったと思います。それだけでも結構疲れたのですが、これはかなり順調に挿入できたようです。
後に同じCVカテーテルをした人から、1時間くらい頑張っても入らなくて結局諦めて、改めて首から挿入したと言う恐ろしい話を聞きましたので。

通常の点滴に比べてCVカテーテル入れるのは大変ですが、一回入れてしまえばそのままずっと使えるし、何度も針を刺されることがないし、手はフリーになり動くのが楽だから、いいとこもあります。
メンテナンスは週に2回、挿入部と縫い付けてある箇所を消毒します。
シャワーのときはくっつかないようにガーゼを当てて、防水テープ(パーミロール)で保護して入りました。

さて、そんなある日、「点滴の線、抜けかけてるっ!!(゚Д゚屮)屮」ということがありました。しかも化学療法中に・・・。
いつずれたのかは不明ですが、固定されていた箇所から6センチほど出てきちゃっていました。
レントゲンで確認したら、まだ何とか先端が中心静脈の中に入っていたので、その日の点滴はそのまま続行したのですが、あまりいい状態ではないので出来るだけ早く入れ替えをしなくてはいけないとのこと。
先が刺さっているなら、出てしまった分をまた押し込んで済ませられないかと思ったのですが、やはり体の深くに挿入するので、一度体外に出てしまったものを入れるのは感染の危険があるため、出来ないそうです。

またあれをしなければ行けないのかと凹んでいたのですが、前のルートを利用して入れることが出き、思ったより楽に済みました。
今までのカテーテルの中に細い線を通してから、カテーテルだけを抜きます。そして残った線に沿って新しいカテーテルを挿入する、という方法でした。

その他に、固定する為に縫ってある部分が、皮膚の新陳代謝のせいか2、3ヶ月くらい経つと取れかかってくるので、何度か縫い直しました。
はじめはビビりまくっていた局所麻酔も、最終的には慣れたものです。
採血や皮下注射もそうですけど、何度もやってると痛みに慣れるというか、痛みの度合いを覚えて覚悟が出来るのか、恐怖心はなくなりますね。
痛いのは嫌ですけど。

いろいろ痛い思いをして、ずっと体から出ているので邪魔だし、シャワーのたびに保護したりと、なかなか迷惑なCVだったのですが、そんなものでも半年以上ずっと一緒にいると愛着もわくのか、いざ抜くときには少しだけ寂しい気持ちがしました。(まあそれ以上に晴れやかな気持ちがありましたけど)
考えてみれば、このCVのおかげで化学療法が出来たわけだし、手術の時の麻酔やその後の抗生剤の点滴にも使えて、便利なやつでもあったんです。
お世話になりました。