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メソトレキセート・ビンクリスチン

プロトコール
薬剤の効能
ビンクリスチン
シャワー
メソトレキセートの流れ
メソトレキセートの採血と蓄尿
メソトレキセートの体感
メソトレキセートの血中濃度と副作用の関係
副作用


プロトコール

以下の表が私が実際に行った化学療法のプロトコールです。(2010.11/9〜13)


表の見方は、2日目に注目すると、以下のような感じです。

前日の23時〜2日目の9時までC(ラクテックGとアスパラKを混ぜたもの)を点滴する。その点滴中、7時に↑(カイトリル)と△(強ミノC)とメ(メイロン+生食)を点滴の分岐した管から注入する。
9時〜9時半までMTX(メソトレキセートとメイロンとアスパラKを混ぜたもの)を半量入れ、9時半〜13時まで残り半量を入れる。その点滴中、11時に◇(ダイアモックス)を横から入れる。
13時〜23時までA-1@(栄養剤)とCを混ぜたものを点滴する。その点滴中、18時に↑と△とメと◇を、21時に◇を横から入れる。

4日目などの「C▲▲▲」というのは「Cと▲(ロイコボリン30mg)を3つ分」ということで、「Cとロイコボリン90mg」という意味です。


薬剤の効能

それぞれの薬剤の効能はざっとこんな感じです。
・(A-1@)・(A-1A)・(A-3@)・(A-3A):栄養剤。数字によって栄養の種類が違うようです。
・ピンクリスチン:抗がん剤
・メソトレキセート:抗がん剤
・メイロン:尿をアルカリ性にする
・アスパラK:ミネラル
・ロイコボリン:毒性をセーブする
・カイトリル:吐き気止め
・強ミノC:肝機能や皮膚を守る
・ダイアモックス:アルカリ性にする
・ラクテックG:水分
・ミネリック:鉄や亜鉛


ビンクリスチン

1日目の点滴開始時に横からビンクリスチンを入れました。
実は私、結構後になるまでこのビンクリスチンが抗がん剤だってことに気付いていませんでした。
30分ほどの点滴で、副作用もあまりありません。
抗がん剤と気付いて思い返してみると、確かに軽い車酔いのようなあまりいい気分ではなかったのですが、それはてっきり次の日から始まるメソトレキセートに対して、精神的に気持ち悪くなっているだけだと思ってました。
抗がん剤だと思うだけで気持ち悪くなったりするので、気付いていなくてちょうど良かったのかもしれません。

細胞には周期があって、G0→G1→S→G2→M→G0と回っています。
  G0:静止期
  G1:DNA合成に必要な酵素の合成
   S:染色体のDNAが複製される
  G2:特異蛋白とRNA合成
   M:有糸分裂期

ビンクリスチンはM期の細胞に作用し、メソトレキセート(以下略してメソ)はS期に作用します。ですので、まずビンクリスチンを投与してM期を攻撃して、時間差で(この間にG0期G1期の細胞が進んでS期に近づく)メソを使ってS期を攻撃することで、より効果的に広い範囲の細胞を攻撃できるそうです。

しかしビンクリスチンは13コースの2週目の時には無しになりました。
というのも、2週目になると癌細胞はかなりダメージを受けていて、周期がバラバラになってしまい、あまりビンクリスチンを投与しても効果がでないそうです。

ビンクリスチンがなくなると、月曜の点滴が不要になり、火曜からスタートになったり、月曜から木曜でやったりと期間が短くなりました。5日間の予定が4日間になるのは大きいです。
しかも、ビンクリスチンがなくなったおかげなのか、メソを入れた後の副作用が前より軽くなりました。メソは一番回数が多かったので、これは助かりました。


シャワー

基本的に24時間点滴なのですが、シャワーに入りたい時は点滴の速度を少し速めてもらって時間を作りました。
このコースの場合ですと、2日目の9時からメソが始まるので、Cの点滴を1時間早く落とすようにしてもらって、8時で一度点滴を外しシャワーに行ってきます。
3、4、5日目も同様に11時までの分を10時までに終わらせて、入る元気があるときはその時間にシャワーに行きます。まあ、3日目とか気持ち悪くてまず行けなかったですけどね。


メソトレキセートの流れ

抗がん治療というと、ずっと抗がん剤を入れてるイメージだったのですが、上記の表を見て分かるとおり、メソの場合は実際抗がん剤を点滴するのは2日目の4時間半だけです。全部で5日間ありますが、他は栄養剤とか、吐き気止めとか、鉄分とか、そういう足りないものをひたすら点滴しています。
ひたすらもひたすら、24時間点滴し続けます。(シャワーに行くときだけちょっと外しますが)
そうすると何が困るって、うっとおしいのもそうですが、寝てても4時間もすればトイレに行きたくなっちゃうんですよね。

メソは一気に大量に入れてガツンと攻撃し、その後は大量の水分を流して早く体から排出するようにします。
その様子を見るためにメソの血中濃度を2日目の9時半、11時、14時、16時半と3日目の朝と4日目の朝に測ります。
2日目の9時半はメソのピーク値で理想は900(μM/L)以上です。
3日目の24時間値の目標は10(μM/L)以下、4日目の48時間値の目標は1(μM/L)以下です。

メソの投与量は身長と体重から体積を計算して、そこから算出します。私の場合は身長161cmの体重59kgでメソの量が12gだったのですが、1コース目でのピーク値が892とわずかに低かった為、次から13gに増やされました。
人によっては、逆に効きすぎて減らしたり、体が耐えられなくて減らしたり、といろいろのようです。


メソトレキセートの採血と蓄尿

血中濃度の他にも副作用による体調の変化をチェックする為に、1、2、3、5日目には生化学(肝機能とか)や血算(血球など)の採血があります。6日目には2時間CCR(クレアチニン・クリアランス 腎機能の検査)があり、その際2回採血します。
なので、メソのコースは1週間の間に10回ほど採血があるので、腕は穴だらけになりました。
それでも私は左右の腕に2本づつ比較的取りやすい血管があり、それらを順番に刺していったから、そんなひどいことにはならなかったです。
とはいえ、このメソのコースが一番採血が多いので、他はそれほどでもないから安心してください。

また、点滴が始まってからトイレのたびに尿を全てためます。便座の下に小さいバケツのようなものを設置してそこにためました。
これは1日の尿量とPhを量るためです。
体内に入れた抗がん剤を早く排出しなければいけないので、尿量があまり少ないのは良くありません。
また、Phが低いと副作用が強くなるので、Phが7.0以下の時はメイロンが追加されます。

仕方ないんですが、これ結構めんどくさいんですよね。副作用でふらふらの時に、点滴引っ張りながらのトイレなので余計そうです。しかも点滴のせいか臭いんです・・・。この臭いがつらかったですね。
この時ばかりは男性陣がうらやましかったです。


メソトレキセートの体感

メソは黄色い液体で、ちょっと粘性のあるウコンのドリンクみたいな感じです。
投与開始から、半時間で半分の量を一気にいれます。この時、全身にカーッと回ってる感じがあります。
抗がん剤を意識すると気持ち悪くなるので、4時間半の点滴の間は寝るか音楽を聴くか本を読むかなどして出来るだけ他のことに集中するようにしました。

最初の頃はそれでも元気で、9時から投与を開始して、まだ点滴をしている最中の昼食も食べれました。(まあその後、食べたものはすっかり吐きましたけど) 初めて吐いたのは夕方位だったと思います。
これが回数を重ねていくと、気持ちの問題か体の問題か、吐くのがどんどん早くなっていきました。
最短では投与開始30秒くらいで吐いたことがあるので、これは完全にメンタル的なものだろうなと思います。
そのうち、黄色い薬剤を見ただけで気持ち悪くなるので、ひとによっては点滴棒みただけで吐いちゃうって言うのも分からないではないです。
ちなみに今こうやって書いているだけでもちょっと気持ち悪かったりします。

吐くと疲れるので、私はそれを利用してひたすら寝ました。
寝てる間は気持ち悪くないですからね。

16時半に抗がん剤の投与が終わると、後は時間が経つにつれて楽になっていきます。なので、コースは5日間の日程ですが、2日目の抗がん剤の点滴が山場で、この4時間半さえ耐えれば後は楽になる!と思い、じっと時が過ぎるのを待ってました。
副作用は2日目が一番しんどくて、日に日に良くなります。コースのたびに違うのですが、4日目には吐かなくなり、フルーツなどの軽いものを少しは食べられるまで回復することが多かったです。

メソのコースは抗がん剤の投与が短いのと、比較的早く副作用がなくなるので、私的にはまだましなコースでした。
私がやったのは、13コース中8コースがメソと一番多かったので、これが比較的耐えやすかったのは助かりました。

抗がん剤の気持ち悪さは、吐くまで飲みすぎた感じに似てます。
よくテレビなどで、想像を絶する苦しみとか、死んだほうがましくらいの表現がされているので、どんなにつらいかと思っていたのですが、正直想像の範疇内の苦しさでした。吐くまで飲んだことのある人なら想像できると思います。
気持ち悪いし、しんどいけど、これなら耐えられると思いました。そして、実際に耐えることができました。


メソトレキセートの血中濃度と副作用の関係

メソのピーク時の血中濃度は、同じ量を同じように投与しているのに何故かばらつきがあります。
1200(μM/L)くらいが多かったのですが、日によっては1400だったり、700だったこともありました。
おもしろいもので、血中濃度が高いほうが副作用がきつくて、低いと楽なんです。
700のときは気持ち悪いことは悪いのですが、吐くほどではなかったと思います。

楽なのはいいのですが、薬が腫瘍に効いてなかったらどうしようと不安にもなります。逆にしんどければ腫瘍はもっとしんどいに違いないと、ぐったりしながら思っていました。
でも、化学療法は全コースを通して腫瘍をたたくものなので、各コースそれぞれに一喜一憂することはないみたいです。
結果よければ全て良しですね。


副作用

主に嘔吐があります。薬をいれると次第にむかむかしてきて吐きます。吐いたらすっきりするのですが、また次第にむかむかむかむか・・・。
この気持ち悪いのに加えて、点滴の大量投与のため、トイレが近くなります。私はトイレまで歩いて行っていたので、(あまりしんどければポータブルトイレを貸してくれます) その一連の動きで更に気持ち悪くなりました。
しかし、吐くと一時的には気分が良くなるので、このトイレ行きをむしろ利用して、積極的に吐いてました。

嘔吐はほとんどの人が出る症状ですが、以下の症状は個人差があると思います。

痰がすごくでました。口の中が常にねばねばしてるような感じで気持ち悪いです。
初回はめちゃくちゃ喉が痛くなりました。なので、2回目のコース以降は、トイレに行く度など、マメにうがいをするようにし、歯磨きの時にはうがい薬を使っていたらかなり改善されました。
痰もこまめに出すようにしてました。
それから、メソを入れた後に、下痢になることがありました。
これの対策として、やばいかもと思ったら下痢止めをもらってすぐ服用するようにしました。

最初はどんな副作用が起きるかわからないので、ドキドキですが、症状が分かればそれに対する対応ができ、ちゃんと対応することでかなり軽減できます。
どうせしんどいのは逃げられないので、その中でもいかに楽になれるかを考えて試してみるといいかもしれません。